企業は、持続的に成長する為に賃金戦略が必要?
企業が持続的な成長を遂げるためには、明確な賃金戦略が不可欠です。これは、人材の獲得や定着、従業員のモチベーションや人件費をコントロールするといった多岐にわたる側面を有しています。1.企業の賃金戦略とモデル賃金
基本的な賃金制度についてまとめてみました。
基本的なモデル賃金として、かつて主流であった職能給と年齢給の組み合わせによる賃金体系があります。
賃金要素 | 概要 | 特徴 |
職能給 | 従業員の職務遂行能力や習熟度に応じて決定される賃金。 | 個人の能力向上やキャリアアップが賃金に反映されやすい、専門性の高い人材の評価に適している、組織全体の能力向上を促進する可能性がある。 |
年齢給 | 従業員の年齢や勤続年数に応じて決定される賃金。 | 安定的な収入が見込める、組織への定着を促す効果がある、年功序列になりやすく若手や能力の高い人材の不満につながる可能性もある。 |
モデル賃金(例) | 上記の要素を組み合わせ、年齢や職能等級に応じて賃金水準を設定したもの。 | 企業規模や業種、人事戦略によって多様なモデルが存在する。 |
2.最近の賃金の多角化と働き方の事例
近年、働き方の多様化に伴い、賃金のあり方も多様化しています。
スキルベース給与: 個人のスキルや実績をより重視する給与体系。プロジェクト単位での評価や市場価値の高いスキルを持つ人材に高い報酬を提供。
成果連動型報酬: 個人の業績や企業の業績目標の達成度に応じて、賞与やインセンティブを大きく変動させる仕組み。
役割等級制度: 職務の難易度や責任の大きさに応じて等級を設定し、それに基づいて賃金を決定する制度。年齢や勤続年数に関わらず、役割の価値で評価。
多様な働き方と賃金:
リモートワーク: 地域による物価差を考慮した賃金調整や、通勤手当の代わりに通信費を支給するなど。
時短勤務: 労働時間に応じて基本給を比例配分するだけでなく、成果に応じた評価をする。
副業・兼業: 副業で得たスキルや経験を本業の評価に反映する動きや、副業を推奨する企業もある。
3. 年代別・業種別賃金のイメージ
各業種・年齢層における賃金の特徴
金融・保険業(男女): 比較的高い水準で推移し、女性は50歳代前半でピークを迎える傾向。男性は40歳代後半でピークを迎えた後、緩やかに下降する傾向。
情報通信業(男女): 若い世代から比較的高い水準にあり、男性は40歳代後半、女性は30歳代後半から40歳代にかけてピークを迎える傾向。
製造業(男女): 他の業種と比較して、賃金の上昇カーブが比較的緩やか。女性は40歳代前半でほぼ上昇が止まる傾向。
卸売・小売業(男女): 全体的に賃金水準は他の業種よりも低め。女性は40歳代前半まで緩やかに上昇するものの、その後は横ばいか下降傾向。男性は50歳代まで緩やかに上昇する傾向。
4. 賃金格差について
賃金格差は、現代社会における重要な課題の一つで、以下の様な項目が浮き彫りになってきます。
業種間格差: 業種によって賃金水準には大きな開きがあり、産業構造や収益性の違い。必要とされるスキル等の専門性等が影響しています。各業種・年齢層における賃金の特徴
金融・保険業(男女): 比較的高い水準で推移し、女性は50歳代前半でピークを迎える傾向。男性は40歳代後半でピークを迎えた後、緩やかに下降する傾向。
情報通信業(男女): 若い世代から比較的高い水準にあり、男性は40歳代後半、女性は30歳代後半から40歳代にかけてピークを迎える傾向。
製造業(男女): 他の業種と比較して、賃金の上昇カーブが比較的緩やか。女性は40歳代前半でほぼ上昇が止まる傾向。
卸売・小売業(男女): 全体的に賃金水準は他の業種よりも低め。女性は40歳代前半まで緩やかに上昇するものの、その後は横ばいか下降傾向。男性は50歳代まで緩やかに上昇する傾向。
4. 賃金格差について
賃金格差は、現代社会における重要な課題の一つで、以下の様な項目が浮き彫りになってきます。
企業規模間格差: 大企業の方が中小企業よりも賃金水準が高い傾向にあります。福利厚生や教育制度の充実度も異なることが多いです。
学歴・職能による格差: 高学歴や専門性の高いスキルを持つ人材は、より高い賃金を得る傾向があります。労働市場における需要と供給のバランスによって決まります。
男女間格差: 多くの業種で女性の賃金は男性よりも低い水準にあり、職種構成の違いや昇進機会の差。出産や育児によるキャリアの中断等の複合的な要因が考えられます。
非正規雇用と正規雇用の格差: 非正規雇用労働者の賃金や待遇は、正規雇用労働者と比較して低い水準にあり、雇用の不安定さやキャリアアップの機会の少なさも課題です。
格差拡大の背景: グローバル化の進展、技術革新、労働市場の柔軟化等が、賃金格差を拡大させる要因として指摘されています。
格差是正の必要性: 過度な賃金格差は、社会の不安定化や経済の停滞を招く可能性があります。公正な分配を実現するための政策や企業の取り組みが求められます。
5.ライフシフトとキャリアプラン
ライフシフトにおける70歳代、80歳代も働くキャリアプラン。
長寿命化と働き方の変化: 人生100年時代と言われる現代において、従来の60歳や65歳での定年という考え方は変わりつつあります。健康寿命の延伸とともに、70歳代、80歳代まで意欲と能力に応じて働き続けるという選択肢が現実味を帯びてきています。ライフシフトにおける70歳代、80歳代も働くキャリアプラン。
ライフシフトの提唱: リンダ・グラットン氏らの提唱する「ライフシフト」では、従来の「教育→仕事→引退」という3ステージの人生から、複数のステージを経験する生き方が提唱されています。
高齢期の就労の意義: 高齢者が働くことは、経済的な安定だけでなく、社会とのつながりの維持、健康維持、自己実現といった様々な側面で重要です。
「70歳代、80歳代のキャリアプランの例」
継続雇用・再雇用: 定年後も、経験や知識を活かして同じ企業で働き続ける。
セカンドキャリア: これまでとは異なる分野で、新たなスキルを習得し挑戦する。
起業・独立: 自身の経験やアイデアを活かして事業を始める。
社会貢献活動: ボランティアやNPOなどで、社会に貢献する活動を行う。
柔軟な働き方: 短時間勤務やパートタイムなど、体力やライフスタイルに合わせた働き方を選択する。
企業と社会の課題: 高齢者の就労を促進するためには、企業における人事制度の見直し(年齢に関わらない評価制度、柔軟な働き方の提供など)や、社会全体の意識改革が必要です。
6. 賃金決定、年功序列型賃金、成果主義型賃金、グローバル、外国人の雇用
①企業の賃金決定
企業の賃金は、以下の要素を総合的に考慮して決定されます。
企業の業績: 企業の収益性や成長性は、従業員の賃金水準に直接的な影響を与えます。業績が良い場合は、賞与や昇給などで従業員に還元されることがあります。
個人の能力・貢献度: 従業員のスキル、経験、知識、業務遂行能力、成果などが評価され、賃金に反映されます。
労働市場との整合性: 同業他社や地域の賃金水準を考慮し、競争力のある賃金を設定する必要があります。
企業の支払い能力: 人件費は企業の重要なコスト要素であるため、企業の財務状況を考慮した上で、無理のない範囲で賃金水準を決定する必要があります。
労働組合との交渉: 労働組合がある企業では、賃上げや労働条件について労使交渉が行われます。
法規制: 最低賃金法などの労働関連法規を遵守する必要があります。
②年功序列型賃金制度
メリット:
・従業員の長期的な定着を促しやすい。
・勤続年数に応じて安定的に賃金が上昇するため、従業員の安心感につながる。
・組織内の協調性やチームワークを重視する文化と親和性が高い。
デメリット:
・若手や能力の高い人材のモチベーション低下を招く可能性がある。
・企業の業績や個人の成果が賃金に反映されにくいため、生産性向上への意識が薄れる可能性がある。
・人件費が高騰しやすく、企業の競争力を損なう可能性がある。
③成果主義型賃金制度
・年齢や勤続年数だけでなく、個人の能力や成果をより重視した評価制度の導入。
・役割や職務の価値に基づいた賃金体系への移行。
・柔軟な働き方に対応した賃金制度の整備。
・多くの企業で成果主義的な要素を取り入れた賃金制度を導入し、目標管理制度やコンピテンシー評価等。
課題:
・短期的な成果に偏重し、長期的な育成やチームワークが損なわれる可能性。
・評価基準の透明性や公平性が確保されない場合、従業員の不満につながる。
・ 成果の測定が難しい職種や部署への適用が難しい。
・ 過度な競争意識を生み、職場の雰囲気を悪化させる可能性。
④グローバル市場と外国人の雇用
グローバル市場における賃金競争
グローバル化が進む現代社会で、企業は海外の競合他社との人材獲得面でも競争する必要があり、国際的な賃金水準を考慮した賃金戦略が求められます。
外国人の雇用
日本国内でも外国人労働者の雇用が益々増加しています。外国人労働者の賃金は、そのスキルや経験、日本の労働市場の相場等を考慮して決定されます。また、国籍による不当な差別は禁止されています。
多様な人材の活用
まとめ
賃金は、もはや単なる生活の糧ではありません。自身のスキルや市場価値を測る指標でキャリアの方向性を定めるものとなり得ます。 また、企業は、優秀な人材を獲得し、 組織を活性化させるための重要な戦略です。
変化の激しい時代に、賃金は、もはや単なる生活の糧ではありません。自身のスキルや市場価値を測る指標でキャリアの方向性を定めるものとなり得ます。
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2025年05月15日 11:03