東京都北区で経営コンサルタント業の株式会社センターテン

コンサルタント、コーチ、セラピスト、士業等の方やこれから独立を考えている方の支援をします。

ホームブログ・お知らせ ≫ 会社の成績表って何?仕事と会社の未来をつなぐ「数字」 ≫

会社の成績表って何?仕事と会社の未来をつなぐ「数字」

経済と経営
ビジネスマンの方の、日々の業務、本当にお疲れ様です! 突然ですが、「会社の成績表」と聞いて、何を思い浮かべますか?
「なんだか難しそう…」「経理の専門分野でしょ?」 そう思われるかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
もしあなたが、
  • 日々の自分の仕事が、会社の利益にどう貢献しているのか知りたい
  • 部署の目標が、会社全体の中でどんな意味を持つのか理解したい
  • 将来、新しい事業を立ち上げたい、起業したいと考えている
  • 会社の現状や課題を数字で理解し、より良い提案をしたい
  • 経営者視点を身につけて、キャリアアップしたい
そう考えているなら、この「会社の成績表」を理解することは、あなたのキャリアにとって強力な武器になります。

今回皆さんにお伝えしたいのは、専門的な経理知識を詰め込むことではありません。 会社の「成績表」である「財務諸表」が、なぜ存在するのか、何が書かれているのか、そしてそれが、皆さんの日々の仕事や会社の未来にどう繋がっているのか、その本質を理解していただくことです。

この記事では、難解な専門用語は極力避け、図を交えながら、まるで謎解きをするように「会社の数字」を紐解いていきます。皆さんが普段見ているデータや、社内で耳にする言葉が、実は「会社の成績表」と密接に結びついていることに気づくでしょう。
さあ、一緒に「会社の成績表」を読み解き、経営者やビジネスマンのスキルをレベルアップさせませんか?
 

財務諸表って何?
財務諸表とは、会社がどれくらい儲かっているのか、どのような財産を持っているのか、お金の流れはどうなっているのかなど、会社の財政状態や経営成績を明らかにする書類のことです。主に以下の3つで構成されています。
  1. 損益計算書(P/L): 会社の「儲け」を示す書類。一定期間の経営成績が分かります。
  2. 貸借対照表(B/S): 会社の「財産」を示す書類。ある時点での財産や借金などが分かります。
  3. キャッシュフロー計算書(C/S 会社の「お金の出入り」を示す書類。お金の流れが分かります。
先ずは、会社の儲けを示す「損益計算書」に注目して、その中にある「5つの利益」を見ていきましょう。

損益計算書からわかる!5つの利益とは?
損益計算書には、会社の様々な活動から生まれる「利益」が段階的に表示されています。これを見ることで、会社が本業でどれくらい稼いでいるのか、それ以外の活動でどれくらい儲かっているのか、最終的にどれくらい利益が残ったのかを知ることができます。
それでは、それぞれの利益について見ていきましょう。


1. 売上総利益(粗利)
  • 計算式:売上高 - 売上原価
「売上高」とは、商品を販売して得た金額のことです。「売上原価」は、その商品を仕入れたり製造したりするのにかかった費用を指します。
売上総利益は、本業で「商品を売って儲けた金額」を示します。この利益を見ることで、その会社が本業でどれだけ儲ける力があるのかが分かります。粗利率が高いほど、本業で高い収益性を上げていると言えます。
 
 

2. 営業利益
  • 計算式:売上総利益 - 販管費(販売費及び一般管理費)
「販管費(販売費及び一般管理費)」とは、商品の販売や会社の管理にかかる費用のことです。例えば、広告費、従業員の給料、オフィスの家賃などが含まれます。
営業利益は、会社が本業で稼いだ利益を指します。この利益を見ることで、その会社の「本業の競争力」がどれくらいあるのかが分かります。営業利益が高いほど、本業で効率的に稼げている会社だと言えるでしょう。


3. 経常利益
  • 計算式:営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
「営業外収益」とは、本業以外の活動から得られた収益のことです。例えば、銀行預金の利息や株の配当金などがこれにあたります。「営業外費用」は、本業以外の活動で発生した費用のことです。銀行からの借入金の利息などが該当します。
経常利益は、利会社全体の「総合的な稼ぐ力」を示す益です。本業の儲け(営業利益)に、本業以外の儲けや費用を考慮したもので、会社が「通常の活動」でどれだけ利益を出しているかが分かります。


4. 税引前当期純利益
  • 計算式:経常利益 + 特別利益 - 特別損失
「特別利益」は、臨時的に発生した特別な利益のことです。例えば、使わなくなった土地や建物を売却して得た利益などがこれにあたります。「特別損失」は、臨時的に発生した特別な損失のことです。災害による損失や、大きな訴訟費用などが含まれます。
税引前当期純利益は、税金を支払う前の最終的な利益です。臨時的に発生した特別な要因も考慮した上で、会社が最終的にどれくらい利益を得たのかを示します。


5. 当期純利益
  • 計算式:税引前当期純利益 - 法人税等
「法人税等」は、国や地方に納める税金のことです。
当期純利益は、最終的に会社に残る利益です。ここまでの全ての収益と費用、そして税金を差し引いた、文字通り「最終的な儲け」となります。株主への配当金の原資となるなど、企業価値を測る上でも非常に重要な指標です。
 
損益計算書 (単位:百万円)

 
項 目
金 額  
備 考
売上高
100
 
売上原価
 30
 
売上総利益
70
 
販売費及び一般管理費
20
 
営業利益
50
本業の儲け
営業外収益
  5
 
営業外費用
15
 
経常利益
40
本業と副業を合わせた儲け
特別利益
  5
 
特別損失
10
 
税引前当期純利益
35
 
法人税等
10
 
当期純利益
25
最終的な儲け
 
会社の財務諸表、特に損益計算書に記載されている「5つの利益」は、会社の経営状態を多角的に分析するための重要な指標です。

まとめ
  • 売上総利益: 本業で商品を売って儲ける力
  • 営業利益: 本業で稼ぐ力
  • 経常利益: 会社全体の総合的な稼ぐ力(本業+通常業務)
  • 税引前当期純利益: 税金を引く前の最終利益(特別損益も含む)
  • 当期純利益: 最終的に会社に残る利益
これらの利益を理解することで、その会社がどれだけ効率的に、そして安定的に利益を出しているかが見えてきます。
ご自身の興味のある会社の財務諸表を調べてみるのも面白いかもしれませんね。
 

用語のまとめ:会社の成績表を読み解くキーワード
会社の財務諸表、特に損益計算書を理解する上で重要となる用語をまとめました。
  • 売上高
    • 商品を売って得た金額
  • 売上原価
    • 商品を制作するための費用(≒変動費)
  • 売上総利益
    • 売上高 - 売上原価
    • 粗利益(あらりえき)ともいいます。この項目を見ると「商品力」を知ることができます。
  • 販管費(販売費及び一般管理費)
    • 商品を販売・管理するための費用(≒固定費)。略して「販管費」ともいいます。
  • 営業利益
    • 売上総利益 - 販管費
    • 本業で稼いだ利益。「営業=本業」と考えると分かりやすい。この項目を見ると「その会社の事業の競争力」がわかります。
  • 営業外収益
    • 本業以外で稼いだ収益。例えば、利息の受取や株の売却益などがある収益。
  • 営業外費用
    • 本業以外でかかった費用。例えば、利息の支払い。
  • 経常利益
    • 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
    • この項目を見ると、「本業と副業」を合わせた会社全体の競争力を知ることができます。
  • 特別利益
    • 臨時の利益。例えば、自社ビルを売って得たお金など。
  • 特別損失
    • 臨時の損失。例えば、地震や火災などの損害や、裁判などで発生する損失。
  • 税引前当期純利益
    • 税金を支払う前の利益。
  • 法人税等
    • 税金を払うための費用。
  • 当期純利益
    • 最終的な利益。
 
貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)
ある時点における会社の財政状態、具体的には「資産」、「負債」、そして「純資産」の全てが記載された表です。英語では「バランスシート(Balance Sheet: B/S)」と呼ばれます。

貸借対照表の構成要素
  • 資産(左側): 会社が保有しているすべての財産を示します。例えば、現金、売掛金、商品などが含まれます。
  • 負債(右側上部): 将来返済する必要があるお金、つまり他人から借りているお金を示します。短期借入金や買掛金などが該当します。
  • 純資産(右側下部): 会社が返済する必要がないお金、つまり自分のお金を示します。資本金や利益剰余金などが含まれます。
 
   
資 産
金 額
 負債・純資産
 金 額
現 金
50
短期借入金
10
売掛金
30
買掛金
20
商 品
20
 
 
 
 
純資産
 
 
 
資本金
40
 
 
利益剰余金
30
 
 
 
 
資産合計
100
負債・純資産合計
100
 

貸借対照表の基本的な関係性
貸借対照表では、常に以下の関係性が成り立ちます。

資産の合計額 = 負債の合計額 + 純資産の合計額
この関係から、左右の金額が「釣り合う(バランスする)」ため、「バランスシート」と呼ばれています。

純資産の内訳
純資産は、さらに「他人資本」と「自己資本」に分けられます。
  • 他人資本: 返済が必要な負債を指します。(図では負債と純資産の合計が純資産のように記載されていますが、これは一般的な会計の表現とは異なります。通常、負債は「他人資本」の一部として扱われることが多いです。
  •  
  • この図では、負債を「他人資本」として、純資産の下半分を「自己資本」と説明しています。
  •  
  • 自己資本: 返済する必要がない会社自身のお金を指します。会社の体力や自己資金の状況を示す重要な項目です。
 
 

まとめ
貸借対照表は、会社の健康状態を示す「企業の健康診断書」のようなもので、これを見ることで会社の資産、負債、そして純資産の状況を把握することができます。

自己資本比率: 自己資本比率とは、総資本に対する自己資本の割合です。簡単にいうと「会社に あるお金のうち、自分のお金の割合」です。自己資本比率が高ければ借金が少な く、自己資本比率が低ければ借金が多いといえます。 自己資本比率は、以下の式で計算します。

自己資本比率(%) = 自己資本 ÷ 総資本 × 100

自己資本とは「純資産の部」の金額です。また、総資本とは「負債の部(他人資本)と「純資産の部(自己資本)の金額の合計です。そのため、左図の場合は、自己資本は70百万円(40+30)、総資本は100百万円なので、自己資本比率は70%になります。

総資本回転率: 総資本回転率とは、総資本に対する売上高の割合です。総資本回転率は、企業が資本を使ってどれだけ効率よく売上を得ることができたかを示します。総資本回転率が高いほど、少ない総資本で大きな売上を得ていることになります。 総資本回転率は、以下の式で計算します。

総資本回転率(%) = 売上高 ÷ 総資本 × 100
例えば、売上高が200百万円、総資本が100百万円の場合、総資本回転率は 200%になります。
 

キャッシュフロー計算書

なぜキャッシュフロー計算書が重要なのか?
「利益が出ているのに倒産する会社がある」という話を聞いたことはありませんか? これは通称「黒字倒産」と呼ばれ、帳簿上は利益が出ていても、手元の現金が不足しているために事業を継続できなくなる状態を指します。

損益計算書は一定期間の収益と費用を明らかにするもので、利益が出ているかどうかを示します。しかし、これはあくまで「発生主義」に基づいており、売上が計上されても、実際に入金がまだの場合があります。

そこで登場するのがキャッシュフロー計算書です。キャッシュフロー計算書は、一定期間における**現金の流れ(入金と出金)を明確にする書類です。これにより、損益計算書だけでは判断できない、会社の資金繰りのリスクを発見することができます。


キャッシュフロー計算書は3つの活動で構成される
キャッシュフロー計算書は、以下の3つの活動に分類して現金の流れを示します。
  1. 営業活動によるキャッシュフロー
    • 本業でどれだけ現金を稼ぎ、使ったかを示す部分です。
    • プラスであれば本業が順調で、現金を効率よく生み出していると言えます。マイナスであれば、本業での資金繰りに問題がある可能性を示唆します。
  2. 投資活動によるキャッシュフロー
    • 設備投資や有価証券の売買など、将来の成長のための投資や、現金をどう使ったかを示します。
    • 一般的にマイナスになることが多いですが、これは将来への投資として健全な場合もあります。大規模な固定資産の売却などがあるとプラスになることもあります。
  3. 財務活動によるキャッシュフロー
    • 借入金や株式の発行・返済、配当金の支払いなど、資金の調達や返済に関する現金の動きを示します。
    • 借入れが多いとプラスになりますが、その分返済義務も増えます。配当金の支払いなどがあるとマイナスになります。
 
 
キャッシュフロー計算書(単位:百万円)
区 分
 
I. 営業活動によるキャッシュフロー
 
税引前当期純利益
10
減価償却費
 6
売上債権の減少
  4
法人税等の支払い
-3
営業活動によるキャッシュフロー (1)
17
 
 
II. 投資活動によるキャッシュフロー
 
固定資産の購入
-5
有価証券の売却
 3
投資活動によるキャッシュフロー (2)
-2
 
 
III. 財務活動によるキャッシュフロー
 
借入金の増加
  8
配当金の支払い
-2
財務活動によるキャッシュフロー (3)
  6
 
 
IV. 現金及び現金同等物の増加額 (1 + 2 + 3)
21
V. 現金及び現金同等物期首残高
48
VI. 現金及び現金同等物期末残高 (4 + 5)
69
 
これらの3つのキャッシュフローを総合的に見ることで、会社がどのように現金を獲得し、どのように使っているのか、そして手元にどれだけの現金が残っているのかを把握することができます。


「ROE(自己資本利益率)」との関連性
会社の収益性を測る指標として「ROE(Return On Equity:自己資本利益率)」も重要です。ROEは、株主から集めたお金(自己資本)に対して、どれだけの利益を上げたかを示す指標であり、以下の式で計算されます。
ROE (%) = 当期純利益  ÷ 自己資本 = 100
ROEは、株主にとって投資した自己資本に対してどれだけの効率で利益を生み出しているかを示すため、高いほど望ましいとされます。キャッシュフロー計算書で現金の流れを把握しつつ、ROEで自己資本の活用状況を見ることで、より多角的に会社の財務状況を分析することが可能になります。

まとめ
キャッシュフロー計算書は、会社の「今」の資金繰りだけでなく、「未来」の成長戦略やリスクを読み解く上で不可欠なツールです。損益計算書や貸借対照表と合わせて活用することで、より正確な経営判断が可能になります。

株式会社センターテンでは、お客様の会社の財務状況を健全に保ち、持続的な成長をサポートするためのコンサルティングを提供しています。
 
2025年06月15日 11:44
株式会社センターテン
代表取締役
中澤 昌弘
所在地
〒115-0051
東京都北区浮間
5-3-43-1008
営業時間
9:00~17:00
定休日
土・日・祝日

モバイルサイト

株式会社センターテンスマホサイトQRコード

スマートフォンからのアクセスはこちら